リアルな女友達で作る3人芝居 タカハ劇団『女友達』高羽彩×異儀田夏葉×高野ゆらこインタビュー

2019年12月3日(火)から7日(土)まで、池袋のスタジオ空洞にてタカハ劇団第16回公演『女友達』が上演される。本作は、主宰の高羽彩が脚本・演出を手掛け、タカハ劇団過去公演への出演はもちろん、プライベートに至るまで親交を深める女優の異儀田夏葉(KAKUTA)と高野ゆらこを共演に迎えた3人芝居だ。

高羽は自身の劇団での活動はもちろん、近年はその確立された世界観を以て外部公演やアニメ・ドラマの現場でも脚本や演出として幅広く活躍。異儀田はKAKUTAの劇団員として活動する傍ら、ドラマ『透明なゆりかご』など映像作品にも精力的に出演。今年上演されたKAKUTA『らぶゆ』では、母性の滲む優しい眼差しと観客の心を救う存在感が印象的だった。高野は、ゆうめい『姿』の一際の存在感を放つ母親役が記憶に新しいが、ブス会*『エーデルワイス』やパショナリーアパショナーリア『6姉妹はサイコーエブリデイ』など出演作が続々相次いでいる。実力派の女優3人が送る『女友達』。私生活における「女友達」はフィクションの世界でどう生きるのか。3人に話を聞いた。稽古場の様子は、作品のあらすじを含むイントロダクションとして紹介する。

■「いつかは」と思っていたことを、やる時がきた

── 3人の女友達で『女友達』という芝居をやろう、という企画が持ち上がるまでには、どういう経緯があったのでしょうか?

高羽 劇団を主宰しているので役者さんとは公演の度に関わり合っているんですけど、同じ役者さんとじっくり付き合っていくっていうことが基本的になくて……。でも、芝居を続けていく中で、心底知っている役者さんしかいない現場をそろそろやりたいって思っていたんです。それが、大元のきっかけ。だとしたら、この2人しかないと思って。

高野 そういう風に思ってたんだ! でも、ちょいちょい飲み会でそういう話は出てたよね。3人で芝居やりたいなって。

異儀田 そうそう。酔うと必ずその話が出るっていうね(笑)。

高羽 「いつかは必ず」って思っていたのが、今来たって感じ。実現に向けて気持ちが高まってきたのが今年に入ってからだったかな。

──3人の今の関係性が築かれるきっかけのようなものはあったのでしょうか?

異儀田 強いて言うなら、タカハ劇団『ブスサーカス』での共演かな。3人で芝居をやろうってことへの直接のきっかけではなかったけど、あれを機に3人が仲良くなった気がする。

高羽 そうだね。そのくらいから、より関係性ができてきた。いわゆるよく現場が一緒になる演劇人のお友達って言うよりは、プライベートの領域も含めて仲良くなったんだよね。

──何か共通点があったとか……?

高野 ちょうどその話、昨日してたね! 結果、共通してるのは「意地の悪さ」だなって話になりました(笑)。

高羽 3人とも、意地悪なんですよ。

高野 ちょっとね。本当にちょっと。

異儀田 そうそう、ちょっとだけ。面白い悪口を言うみたいな。

高羽 そうね。笑える悪口のセンスが似てる。意地の悪さの度合いが一緒なんだと思う。他人をいじめるとかいうのではなくて、斜めからモノを見てたり、物事のくさし方が似てる。そういう意地悪さだね。

異儀田 そうだね!

高羽 今回の作品にも、そういうちょっとした意地の悪さが散りばめられていると思います。むしろ、そういう要素しかないかも(笑)。
(撮影:塚田史香)
(撮影:塚田史香)

──3人で芝居をやることに向けて、色々話し合いも重ねられたことと思います。「3人きり」と言う面でも、ある種の覚悟もあったのではないかと思うのですが。

高野 まず根底にあるのは、久しぶりに3人で芝居できる喜び。お芝居に対しての不安ではないけど、せっかく仲がいいから、その仲の良さが芝居をやるにあたって悪い方向に行かないといいなって。

異儀田 馴れ合いにならないように、あえて厳しくしてるよね。脱稿するまで飲みに行かないとか。友達だからこそより厳しく。せっかくこの3人でやるんだから、絶対に面白くなきゃいけないって思ってる。その気持ちはいつも以上に強いかもしれないです。

高野 そうそう。ハードル上げてる部分はあるよね。他に出ている時ももちろん思ってることではあるんだけど、自分事感がより強い。でも楽しみが何よりも勝ってる。これが私たちのライフワークのような、一種の遊びになったらいいなって。そしたら、老後も楽しんじゃない?って(笑)。

異儀田 そうそう、老後ね。だいたい、飲み会のゴールはそこになるよね。3人で村を作るみたいな話になっていく(笑)。それで、すごい飲み屋で怒られるもんね。盛り上がりすぎて。

高羽 でも、「楽しそうだね」って言ってマグロのカマをサービスしてもらったことあるよね。「すごい楽しそうだから、あのお嬢ちゃんたちにこれあげてよ」って。

異儀田 それも、確か、『女友達』をいよいよ始動させようっていう話をした居酒屋だったよね。突然のサービスだったから一体誰だろうって思ったら、その居酒屋の経営者だったっていう…。

高野 しかもカマ、頼んで食べた後だったよね(笑)。でも、この2人がいることで、それぞれの連れ合いがいなくなっても、まあなんとかやってけるんじゃん?みたいな気持ちは本当にあります。だって、嬉しいじゃない? せっかくこんなに気が合う女優の友達に会えて、仲良くなって、一緒に芝居できるなんて。

高羽 知り合って10年くらい立つけど、3人みんなが演劇をやめずに続けてるって、案外すごいよね。20代またいでるからね。

高野 幸せなことだよ。生きていて、元気で、それが一緒にできるんだから。すごくありがたいことだよね。
(撮影:塚田史香)
(撮影:塚田史香)

──女友達って、ある年齢を行くと作るのが難しいと思うのですが、みなさんは大人になってから確固たる関係性が出来上がっていますよね。

高羽 まさにそうだと思います。学生の時みたいに、クラスや部活が一緒になったとか、分かりやすいきっかけもないしね。大人になってここまでしっくり腑に落ちる関係性っていうのは、作ろうと思って作れるものじゃないと思います。

異儀田 お互いの恋愛だって色々知ってるもんね。それぞれの人生の紆余曲折を見てきてる。3人のキャラとか立ち位置みたいなのはとりたててないけど、強いて言うなら、高羽が末っ子感あるよね。

高羽 そうかもしれない。結婚も私が一番遅かったんですけど、どうやら、2人はそういうことも気にかけてくれてたみたいで……。

高野 高羽が結婚した時、めちゃくちゃ嬉しかったよね。でも、結婚式では、泣かなかった。

異儀田 泣くつもりで行ったんだけど、全く泣かなかったね。めっちゃドヤ顔してるから、それが面白くてずっと笑ってたね。

高羽 入場のところで、きっと泣いてくれるんだろうなって思ってたのに(笑)。でも、私も泣かされるつもりでスピーチお願いしたんだけど、マジで泣けなかったわ。

高野 あれも、泣かせてやろう!と思って、すごい考えたんだよ。2人で公園で稽古までして……。でも泣かなかったね~。そういうところなのかもね、ちょっと意地悪って。

■結婚を経て、「変わること」と「変わってしまうこと」の狭間で

(撮影:塚田史香)
(撮影:塚田史香)

──「結婚」のお話が出ましたが、今作でも1つのキーワードになっているんじゃないかと感じました。結婚だけでなく、歳を重ねる毎に女性が抱えていく問題とか、そのことで変わってしまう人間関係とか、そういうものが内包されている作品だと感じました。

高羽 3人でやるのは、3人でやるべき題材に出会ってからと思っていたんです。その1つが結婚だったのかもしれない。関係性の変化というのもまさにそうで、私は、結婚した途端に、学生時代からの友人間のコミュニティでの自分の立ち位置や振る舞いがわからなくなってしまったんです。独身の時は、友人間に流れるムードとしてある種の弱者的立場にいることで全く気を遣わなくてよかった。周りが気を遣うことはあっても。自分自身がそういう感覚でいたことに、結婚して気づいたというか……。

高野 なるほどね。

高羽 その時に、自分の社会的立場が友人間におけるコミュニケーションにいかに影響を与えていたのか実感をもって感じた。「なんで、前みたいに楽しく話せないんだろう?」って思った時に、女性っていうのは、社会的立場が変わっていくにつれて、こんなにしゃべれないことが増えていくんだなって。もちろん女友達に限らないとは思うんだけれど。

異儀田 結婚って、不思議だよね。するまでは、したらなんとなく一安心なのかなって気がしてた。でも、したらしたで、新たなプレッシャーあるなあって。例えばだけど、「子どもは?」って聞かれることとか。結婚しなきゃきかれなかったことじゃない? いい面ももちろんあるけどね。なんていうか、結婚して芝居も変わったと思うし。

高野 自分のことを絶対に応援してくれる人がいるっていうのは、心強いよね。何を選んでも無条件に自分の味方って人がいて、その中で女優を選ぶってことやどう生きるかってことを素直に決められるようになった気がする。昔の方が、女優をやるならこうしなきゃいけないとか、こうであるべきとか強かったかな。今は、売れてようが売れてなかろうが、演劇をやっていることを「それでいい」って言ってくれる人がいるから強いなって思う。

異儀田 たしかに、どう見られてもいいっていう風には思うようになったかも。舞台上でどれだけ傷ついてもいいんだって思えるようになったかな。防衛しなくて良くなった。そういう意味で芝居が変わったのかも。

高羽 めちゃめちゃいい話じゃん! 私は、結婚したことによって変わりたくないって気持ちが強かったけど、こうやって聞くと結婚したからこそ得られるすごくいい変化もあるね。

高野 でも、わからなくもないよ。高羽のその感覚も。

高羽 職場でのいじられ方が変わったりもするじゃない? 未婚既婚をネタにいじるセンス自体嫌いだけど、未婚女をいじる人って未だにいて……。嫌いだからいじって欲しかったわけじゃないけど、結婚しただけでそういういじりをされなくなるっていうのも、なんか複雑だった。

異儀田 たしかに、コミュニティでのキャラクターや会話も変わっていくもんね。そういう変化は誰でも少なからずあると思う。

高羽 めちゃくちゃわかりやすいとこでいうと名前もそうだよね。他人から見えている自分の姿が変わっちゃう。ただ隣に伴侶という人が増えただけで、私自身は何も変わってないのに。私がいいって言ってないのに。今回は、そういう“息苦しさ”を丁寧に書きたいなって思った。望む望まないにかかわらず、人が生きていく中で環境が変わることによって、その人自身の定義付けが対外的にどんどん変わっていってしまう。長年付き合う友達は、それにどう対処していけばいい?っていう話。
(撮影:塚田史香)
(撮影:塚田史香)

──「歳を重ねるたび 話せないことが増えていく―」という今作のテーマに通じる話ですね。

高羽 このテーマだったら、3人で集まってやる意味があるなって思ったんです。私たちはそれぞれの人生の様相が変わる瞬間瞬間に立ち会っているんだけど、未だに仲良くやっているから。だからこそ、そうじゃない人たちを演じるのが面白いんじゃないかなって。

──なるほど。

高羽 あと、言ってしまえば、自分たちの関係性だってこの先はどうなるかはわからない。そういうリアルな女友達が「女友達の友情がいかに難しいか」っていう芝居をやる。その枠組みだけで一種のスリルが担保できるとも思うんです。もしかしたら、「こいつら仲良いから芝居やってるけど、この先わかんないよな」ってお客さんも思うかもしれないし。女友達の関係って案外深刻なんですよね。世の中には恋愛の話は溢れているけど、よっぽど複雑怪奇だと思う。

異儀田 なんか、「女友達」って独特な言葉だよね。

高野 「友達」ではなく「女友達」だもんね。

異儀田 なんでだろうね。“女”がつくことで少し意味合いが変わるというか、何らかの匂いがするというか、言葉のニュアンスとして。不思議だね。男の人は男の人で色々あるんだろうけどね。

高羽 うんうん。『女友達』という作品を書きながらも、「女だから男だから」ってカテゴライズして語ることの危険性は自覚しながら作らなきゃとは思ってる。同時に、自分が女性性を持った人生を今まで生きてきたのも事実だから、私の目から見た一つの形として表現できたらって思うんだよね。

高野 実際、10代20代の時にイメージしてた「女友達」と、今30代ここに立っての「実感としての女友達」が全然違うんだよね。それも面白いなあと思う。

高羽 「あの頃のままでいたい」って望んでいたとしても、いつの間にか変化を強いられるからね。その変化にどう対応するといい女友達であれるんだろうね。女友達は、様変わりしていく自分をどこまで受け入れてくれるんだろう。相手の変化を感じた時に自分はどうしたらいいんだろうって。実は、みんな心配していることじゃないかな。
(撮影:塚田史香)
(撮影:塚田史香)

■『女友達』というフィクションと、「女友達である」というノンフィクションの境目

──『女友達』という作品の真髄に触れるようなお話ですね。作品上での役柄は、みなさんがそれぞれの持つキャラクター性など、何かしらリンクはあるんでしょうか?

高野 うーん。なんか、ちょっと一旦話が飛躍しちゃうですけど、昔、3人で色占いをやったことがあって……。私と高羽の色の人はなっちゃん(異儀田)の色のタイプの人が好きってでたのすごい覚えてる。それ、すっごいわかるなあって……。

高羽 私とゆらっぴ(高野)が、なっちゃんをめっちゃ好きって構図ね。なっちゃんはもともとは大学の先輩で、入学当初からすごい女優さんがいるって話題だった。先輩だから恐縮しながら、自分の演劇にオファーしたんです。出ていただく方という感じだった。

異儀田 そんなの言ってるの高羽だけだよ! 話半分にきいてくださいね(笑)。

高羽 でも、そこにゆらっぴが加わったことでバランスがとれた気がする。「恐縮です!好きです!」って感じだったのが、急に「私も大好き!」っていう人が隣にきた感じ(笑)。「私だけじゃなかった!あなたもそうなの?」って嬉しかった。

高野 高羽にしてみたら、「すごい推す人きた!」って感じだったよね、多分。もはや、ファン目線。推しの人の良さを語り合うみたいな(笑)。

高羽 一人で抱えるにはつらい片思いを分け合った感じだったよ……。

異儀田 あはははは! なんだ、それ!

高野 っていうね、めちゃくちゃくだらないネタで私たち3人はこの10年楽しんでるんです(笑)。でも、この作品上の私となっちゃんのヒエラルキーというか、強さに憧れを抱いているところとかは私にちょっとリンクしてる。素敵な人だなって思ってるってだけで、作品に出てくるような軋轢やギクシャクはないんだけど。感覚としては当てはまるかな。

異儀田 嬉しい限りだよ……。たしかに、そういう何かしらのリンクはあるよね。私個人の問題としては、子どもがいないっていうことで実は何らかのストレスを持ってるなって思ってて……。それは単なる一例なんですけど、そういった女性が抱えるあらゆる問題が描かれているから、結構グサグサくる。

高野 この本、リアルにグサグサくるとこはあるよね。人によっても違うと思うけれど。

異儀田 あと、私の役は「ゼロから何かを作ることに憧れを持ってる人」って高羽に言われて。それはすごく自分にも当てはまる。だから、こうやって物語を生む高羽のこともリスペクトしてる。要所要所で、「あ、これは私の物語だ」と思ってやれることが、しんどいだろうけど、すごく楽しみ。

高羽 本当の2人は誰にもわからないんだけど、私が見ている2人を作品のどこかに吹き込みたいなっていうのはあって…。絶対に本人じゃない。でも、奥底でなにか繋がるものがあるって面白いんじゃないかなって。『女友達』っていうフィクションと「私たちが女友達である」っていうノンフィクションの境目が曖昧になるっていう仕掛けとしても。

高野 今はまだ稽古序盤だから、この先新たにそういう面を発見していくこともありそうだよね。

高羽 これもある意味意地悪な感覚ではあるし、大変だとも思うんだけど、この2人ならっていう信頼があります。これで面白くなかったら、今後の関係にヒビが入るんじゃないかって思ってる! そういう意味での恐ろしさも含めて、スリリングさが強みになる作品じゃないかな。

──最後に、本番までにどういう作品に仕上げていきたいか、今後の稽古の展望をお聞かせください。

高羽 前に2人に共演してもらったタカハ劇団の『ブスサーカス』は、「女性が見た目の美醜によっていかに判断されるか」ということを根底のテーマに、人間が共通して持つ劣等感に触れる作品でした。私個人としては、そんな『ブスサーカス』に連なる、<女性>というものを通して<人間>を描くシリーズという位置付けです。日常ではなかなか言語化できない“生きづらさ”にちゃんと触れることができたら。お客さんの心の中に秘めている慟哭を溢れ出させるような作品にしたいと思います。
『女友達』稽古場レポート —イントロダクションー

稽古場を訪れたのは、まだ稽古が始動し始めたばかりの頃。冒頭の、2人の女友達同士が再会するシーンを一通り見学させてもらった。観客を物語の中に引き込む重要なシーンだ。残る1人は、まだ2人の会話にしか出てこない。ストーリーの全貌は見えなくとも、今後の展開を十分に気にさせる「始まり」だった。今回は、作品のイントロダクションとして、その様子をレポートする。

舞台は、地方都市の住宅地にある一軒家。自宅で倒れた姑を巡って、義娘とホームヘルパーが会話を交わすシーンから始まる。介護中に事故がおきてしまったことを詫びる介護士の上野稔梨(高野ゆらこ)と、事情を聞く義娘の野口朱音(異儀田夏葉)。

会話が進むにつれて、正面を向いて顔を突き合わせたその時、2人は互いを認識する。

「あーちゃん?」「みのり?」

2人は高校時代を共に過ごした「女友達」だったのだ。さっきまでの緊迫したムードが一気に解けて、時が遡るように表情を一転させる2人。かつてある一定の濃い時間を共有したことが一目にわかるシーンだ。

物語の導入部分とだけあって、セリフの細かい語感を調整したり、立ち位置を探ったりと、3人が意見を出し合いながら、リアルな人間関係が入念に練り直された。どれもが、小さいながらも確かに、登場人物の心情や関係を象徴する部分だ。
(撮影:塚田史香)

「語尾は、<~だよね>じゃなくて、<~だね>にしようかな」

「そこで腕時計を見る動作を足しましょう!」

「“えっ”っていう驚きを入れてから、セリフ言うのはどうだろう」

稽古はまだ序盤と言っても、そこはさすが“女友達”。演出の高羽を筆頭に、すでに確立されている関係性を武器にみるみると作品に色をつけていく。
(撮影:塚田史香)
高羽彩

しかしながら、2人の会話が続けば続くほど、いや、この場合続かせようとすればするほど、という方が近いかもしれない。2人がどこまで仲が良かったのか、いつまで連絡を取り合っていたのかが、見えなくなっていく。物語として見えないのではなく、感覚的な意味合いで。
(撮影:塚田史香)
高野ゆらこ

もしかしたら、この当人たちさえそう思っているんじゃないか。それは、ちょうど、久しぶりに会った友人の学生時代の横顔や、その時隣でどんな風に自分が笑ったのかを思い出せない感覚と似ている。
(撮影:塚田史香)
異儀田夏葉(KAKUTA)

「結婚」というキーワードも早速出てきた。仕事に恋愛、そして結婚。時を経た今の状況を互いに伝え合う他愛もない会話の中に、特有のぎこちなさや、微妙な空気が漂う。インタビューで語られた「女友達の難しさ」の片鱗を早くも見た気がした。
(撮影:塚田史香)

冒頭シーンは、残る1人の女友達・紀香(高羽彩)が「今、どこで何をしているのか」ということを匂わせる形で終わった。サスペンスフルな情報だけを残して、彼女は姿を見せない。この後、紀香はどういう風にこの再会に関わっていくのだろう。この3人はどんな関係だったのだろうか。そして、これからどんな関係になっていくのだろうか。
(撮影:塚田史香)

そこにはきっと、『女友達』という作品が伝える「生きづらさ」や「息苦しさ」があるに違いない。そして、その核心に触れた時、自分はどう思うだろう。在りし日の3人、今の3人。時間だけが過ぎてしまったその時、女友達と話せることはなんだろうか。その誰しもが抱える、または今後抱えるかもしれないリアルな感覚は、劇場で3人が織り成す会話の中で輪郭を持つのだと思う。

取材・文・稽古場写真/丘田ミイ子
宣伝撮影(インタビュー内に使用)/塚田史香

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