妊活3カ月目…まだ妊娠しないのは不妊症?

不妊症の定義は「1年間避妊せずに性行為を行っても妊娠しない場合」ですが、妊活を始めて数カ月、または妊活前から、自分は不妊症なのではないかと不安に思われる方は珍しくありません。

妊活前から不安? 不妊症が心配でクリニックを受診される患者さんも

不妊症に関する情報がよく報道されるためか、妊活をスタートする前から「妊娠できる体かどうか調べたい」とクリニックを受診される患者さんは少なくありません。

残念ながら、医学的に「妊娠できる体かどうかを調べる方法」というものはないのですが、最近は不妊や卵子の寿命について、良くも悪くもネット上に情報が溢れすぎているので、3クールくらいタイミングをとって妊娠しないと、「不妊症じゃないだろうか」と心配して受診される方もいらっしゃいます。

「先月は(排卵の)タイミングがばっちりあっていたのに、月経が来たからおかしい」といった訴えも、実際の診療現場で聞かれるものです。

「不妊症」の定義……「1年間避妊せずに性行為を行っても妊娠しない場合」

そもそも不妊症とは、「避妊せずに適切な頻度で1年間性行為を行っても妊娠しない場合」と定義されています。

正確には、「日本産科婦人科学会」のHPで以下のように示されています。

『「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。』

妊娠を望んでの性交渉をスタート、半年、ましてや2~3カ月妊娠しなかったからといって、医学的な意味での不妊症とはいえません。

妊娠率は意外と低い……20代でも1周期25%程度

また、正しく避妊することの大切さが広まった一方で、避妊をせずに性交渉をしたらすぐに妊娠するものだと思われている方は少なくないかもしれません。実は妊娠率は、多くの人が思われているほど高くないのです。

1周期の妊娠率は年齢によって異なりますが、妊娠しやすいといわれている20代で何のリスクもない人が、適切な頻度で性行為を行った場合でも、大体1周期25%くらいです。

「避妊をしなかったからすぐに妊娠できる」というものではありません。また、30代は20代に比べると妊娠率が落ちますが、同じ30代であっても、35歳くらいを境に妊娠率も生産率も低下します。詳しくは、「日本生殖医学会」のサイトもあわせてご覧ください。

不妊症ではないけど不安……焦ってしまう方がすべきこと

不妊症ではないかと一人で不安を抱え込んでしまうなら、いわゆる妊活を始めて1年未満であっても、早い段階で婦人科で相談されるとよいでしょう。その際、親身に相談に乗ってくれる婦人科や、必要に応じて漢方などで体質改善のサポートもしてくれる婦人科を選ぶのがポイントです。

生活習慣の改善をと考える方も多いようですが、特別なことをする必要はありません。バランスの良い食事をとって、適度な運動をして、自分にとって必要な睡眠をとることです。

また、脳の「苦痛系刺激」となる思考パターンをやめることも、精神的な面では大切です。

避けたいことを「これは嫌なことだから避けよう」と考えたり、「○○すべき」という考えで動いたり、「正解」を求めたりすることをやめ、「報酬系刺激」となる思考パターン、つまり、欲しいものを得ようとしたり、「○○したい」という考えで動いたり、結果がどちらであってもOKと思えるようにすることも、ストレスをため込まず、健康な心身を保つために有効です。

そもそも、「妊娠できないかも……」となぜ焦ってしまうのか、その根底にあるものを見る必要があります。

「親がうるさいから」「結婚したら妊娠するのが当たり前だから」「産んで一人前だから」「子どもを産んでいないと何となく後ろめたいから」……など、「何のために妊娠したいのか」が知らないうちにずれてしまっている場合、そのような焦りが出やすくなるためです。

不妊症リスクを過度に心配する前に……客観的に考え、自分の背景の見直しを

「病気になったらどうしよう」と過剰に心配するほど、脳には「病気になった自分」をインプットすることになります。「病気になったら嫌だから」と様々な健康法を試して逆効果になってしまったりすることは、珍しいことではありません。妊娠についても、同じことがいえると感じます。

何のために妊娠したいのか、自分の不妊リスクは客観的に見てどのようなものがあるのか、そして何もリスクがなければ1年間で85%の人が妊娠するのに、自分だけがうまくいかないかもしれないと心配になるのはなぜなのか、しっかり自分の背景を見直してみることをおすすめします。

◆ 清水なほみプロフィール
女性医療ネットワーク発起人・NPO法人ティーンズサポート理事長。日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。女性医療の先駆者の下、最先端の性差医療を学び、「全ての女性に美と健康を!」をコンセプトに現場診療にあたる。ネット・雑誌・書籍等の媒体を通し幅広く健康啓発を行っている。
(文:清水なほみ(産婦人科医))

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