阿部寛、『まだ結婚できない男』で願う「いろんな人を認め合える世の中に」

偏屈で独善的で皮肉屋だけど、どこか憎めない独身の建築家・桑野信介の日常を描く、カンテレ・フジテレビ系ドラマ『まだ結婚できない男』(毎週火曜21:00〜)。前作が放送された13年前に比べ、“結婚できない男”が珍しいことではない今の時代に続編を放送する意義を、桑野を演じる俳優の阿部寛はどう考えているのか。

役づくりや、「人生100年時代」における俳優という仕事についても含め、話を聞いた——。

○■役づくりは誰もモデルにしない

——13年が経っての桑野には、どんな変化の部分があると思いますか?

前作の設定である40歳と、それから13年経っての53歳って全然違うわけ。40歳の人もそうかもしれないけど、53歳の人が黙ってると迫力があって本当に怖いんですよ。僕より先輩の役者さんなんて、みんな黙ってたら石像ですよ。人のことは決して言えないけど。だから、桑野もそういうことを社会から感じて、少しはコミュニケーションをとっていったほうが前回との差がそれほどないようになるのかなと思ったりして、人から受け入れられやすいように少しは迎合した部分があってもいいかなと思って演じています。

——よく歳を取ると丸くなると言いますが、そういうことなのでしょうか?

丸くなったというか、人恋しくなったんでしょうね。

——その部分で、阿部さんが足してみたアイデアはあったりするのでしょうか?

現場に立って感じるものを、お芝居をやりながら瞬時に考えてやっていました。間とか言い方とか変にウケを狙おうということではなく、ナマモノでやって視聴者には分からない微妙な程度が一番いいと思って。計算するといやらしさが出ちゃうんで。

——桑野の役づくりにあたって、モデルになった人はいらっしゃるんですか?

僕は演じる役について、誰もモデルにはしないんですよ。(脚本の)尾崎(将也)さんは「阿部さんの演じる桑野は、ちょっと自分に似てます」って言ってくださいましたけど(笑)。例えば、背中を丸めるという姿勢は全く誰かを意識していなくて、後で考えるとそういう人が結構いるということが多いんです。台本を読んでいくうちに、自然とでき上がっていった感じ。

いろんな作品を見ていろんな役をやっていく中で、たぶん30代くらいのときにいろんな人間のキャラクターの貯金ができて、そこから「こういう人だったらこういう感じで演じればいいんじゃないかな」って引き出して、自分で作っていくということなんです。

○■生涯俳優…できればやりたい

——13年という年月が経って、阿部さんから桑野にアドバイスしたいことはありますか?

ないですね(笑)。彼はやっぱり彼のポリシーで生きてますから。あそこまで信念を曲げずに生きられるっていうのは逆に尊敬に値することなので、彼に言うことは何もありません。むしろ、よく変わらずにいてくれたなって言いたいですね(笑)

それと桑野は、裏では結婚に対して非常に興味があるんですけど、今の人生を楽しんでいるんですよ。決して悲観的になっていない。前作はちょっと悲観的な部分があったのですが、人生を前向きに考えられるようになったのは、成長したところだと思いますね。

—— 一方、この13年で、未婚率はさらに上昇しています。

13年前は“結婚できない男”というのが珍しいということで企画が立ち上がったと思うんですけど、今はそうじゃなくなりましたよね。その中で僕が思うのは、いろんな人がいて、それを認め合える世の中になってほしいということ。このドラマを見てそう考えてもらえたら、本当にうれしいなと思いますね。

——今作は「人生100年時代」というのも1つのキーワードになっていると思うのですが、阿部さん自身、俳優業をいつまで続けたいという目標はありますか?

草笛(光子)さん(86歳)にはぜひ100歳までやってくださいってお願いしているんですよ。僕は今55歳ですが、先輩に道を開いてほしい。

——やっぱり、生涯やっていきたいお仕事ですか?

できればね。自分さえセリフが言えて、そして需要があれば、草笛さんのように仕事ができますから。だからそこまでできるように、普段からいろんなことを摂生していけば、きっとやれるんじゃないかと思うんですけどね。
○■さらなる続編は…

——放送ではこれから終盤に向かっていきますが、今後の見どころをお願いします。

前作は12話だったけど、今回は10話なんですよ。だからある種ジェットコースターなんですよね。その中で、恋愛が始まっていくのか、桑野が誰に興味を持ち、どういう決着をしていくのかというのを、ぜひ楽しみにしてほしいと思います。視聴者の方が見て、最後は裏切らないものになっていると思いますので。

それから桑野の他にも、英治(塚本高史)などいろんな人たちにも人間ドラマがあります。そこでホロッとくるエピソードもありますから、楽しみにしていただきたいですね。

——さらなる続編への意欲はいかがでしょうか? 塚本高史さんは「毎年やってシリーズ化しても面白いので、次回は『まだまだ結婚できない男』で」なんてコメントもされていましたが(笑)

ありがたいですね。でも、やっぱり決着をつけて終わらないと(笑)。今回の続編をやることについてもだいぶ悩みましたからね。

●阿部寛1964年生まれ、神奈川県出身。87年、映画『はいからさんが通る』で俳優デビュー。その後『TRICK』『HERO』『アットホーム・ダッド』『ドラゴン桜』『白い春』『結婚できない男』『新参者』『下町ロケット』といったドラマ、『歩いても歩いても』『麒麟の翼』『テルマエ・ロマエ』『うみよりもまだ深く』といった映画などに出演。来年には舞台『ヘンリー八世』の公演、映画『HOKUSAI』『The Garden Of Evening Mists』の公開が控える。

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